デジタル会計監査六法

会計処理に必要な会計基準や実務指針を公開

税効果会計に係る会計基準の適用指針① 平成 30 年 2 月 16 日(企業会計基準適用指針第 28 号)

 目 的

1. 本適用指針は、企業会計審議会が平成 10 年 10 月に公表した「税効果会計に係る会
計基準」(以下「税効果会計基準」という。)を適用する際の指針を定めるものである。


適用指針


範 囲

2. 本適用指針は、税効果会計基準が適用される連結財務諸表及び個別財務諸表に適用
する。
3. 次に示す企業会計基準、企業会計基準適用指針、実務対応報告及び実務指針において
定められている税効果会計基準を適用する際の具体的な取扱いは、本適用指針におけ
る取扱いにかかわらず適用される。
(1) 企業会計基準第 12 号「四半期財務諸表に関する会計基準」及び企業会計基準適
用指針第 14 号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」に定められた四半
期連結財務諸表及び四半期個別財務諸表における税効果会計の適用に係る取扱い
(2) 企業会計基準第 25 号「包括利益の表示に関する会計基準」に定められたその他
の包括利益の内訳の開示に係る取扱い
(3) 企業会計基準適用指針第 9 号「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用
指針」に定められた株主資本等変動計算書における変動事由の表示に係る取扱い
(4) 企業会計基準適用指針第 10 号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関
する適用指針」(以下「結合分離適用指針」という。)に定められた企業結合及び事
業分離等に関連する税効果会計の適用に係る取扱い
(5) 企業会計基準適用指針第 26 号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」
(以下「回収可能性適用指針」という。)に定められた繰延税金資産の回収可能性
に係る取扱い
(6) 企業会計基準適用指針第 29 号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適
用指針」に定められた中間連結財務諸表及び中間財務諸表における税効果会計の
適用に係る取扱い
(7) 実務対応報告第 5 号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面
の取扱い(その 1)」及び実務対応報告第 7 号「連結納税制度を適用する場合の税
効果会計に関する当面の取扱い(その 2)」に定められた連結納税制度を適用する
場合の税効果会計の適用に係る取扱い
(8) 日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第 4 号「外貨建取引等の会計処理に関
する実務指針」に定められた子会社持分に係るヘッジ取引に関する税効果会計の
適用に係る取扱い
(9) 日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第 9 号「持分法会計に関する実務指針」
(以下「持分法実務指針」という。)に定められた持分法会計に関する税効果会計の適用に係る取扱い


用語の定義


4. 本適用指針における用語の定義は、次のとおりとする。
(1) 「納税主体」とは、納税申告書の作成主体をいい、通常は企業が納税主体となる。
ただし、連結納税制度を適用している場合、連結納税の範囲に含まれる企業集団が
同一の納税主体となる。
(2) 「法人税等」とは、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金をい
う。
(3) 「一時差異」とは、連結貸借対照表及び個別貸借対照表に計上されている資産及
び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額をいう。
なお、一時差異及び税務上の繰越欠損金等を総称して「一時差異等」という。税務上の繰越欠損金等には、繰越外国税額控除や繰越可能な租税特別措置法(昭和 32年法律第 26 号)上の法人税額の特別控除等が含まれる。
(4) 「財務諸表上の一時差異」とは、個別財務諸表において生じる一時差異のことをいい、将来減算一時差異又は将来加算一時差異に分類される。
① 「将来減算一時差異」とは、財務諸表上の一時差異のうち、当該一時差異が解消する時にその期の課税所得を減額する効果を持つものをいう。
② 「将来加算一時差異」とは、財務諸表上の一時差異のうち、当該一時差異が解消する時にその期の課税所得を増額する効果を持つものをいう。
(5) 「連結財務諸表固有の一時差異」とは、連結決算手続の結果として生じる一時差異のことをいい、課税所得計算には関係しない。当該一時差異は、連結財務諸表固
有の将来減算一時差異又は連結財務諸表固有の将来加算一時差異に分類される。
① 「連結財務諸表固有の将来減算一時差異」とは、連結財務諸表固有の一時差異
のうち、連結決算手続の結果として連結貸借対照表上の資産の金額(又は負債の金額)が、連結会社の個別貸借対照表上の資産の金額(又は負債の金額)を下回る(又は上回る)場合に、当該連結貸借対照表上の資産(又は負債)が回収(又は決済)される等により、当該一時差異が解消する時に、連結財務諸表における利益が減額されることによって当該減額後の利益の額が当該連結会社の個別財務諸表における利益の額と一致する関係を持つものをいう。
② 「連結財務諸表固有の将来加算一時差異」とは、連結財務諸表固有の一時差異のうち、連結決算手続の結果として連結貸借対照表上の資産の金額(又は負債の金額)が、連結会社の個別貸借対照表上の資産の金額(又は負債の金額)を上回る(又は下回る)場合に、当該連結貸借対照表上の資産(又は負債)が回収(又は決済)される等により、当該一時差異が解消する時に、連結財務諸表における利益が増額されることによって当該増額後の利益の額が当該連結会社の個別財務諸表における利益の額と一致する関係を持つものをいう。
(6) 「課税所得」とは、法人税等に係る法令の規定に基づき算定した各事業年度の所得の金額の計算上、当該事業年度の益金の額が損金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
(7) 「税務上の欠損金」とは、法人税等に係る法令の規定に基づき算定した各事業年度の所得の金額の計算上、当該事業年度の損金の額が益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
(8) 「標準税率」とは、地方公共団体が課税する場合に地方税法(昭和 25 年法律第226 号)で通常よるべきとされている税率をいう。
(9) 「超過課税による税率」とは、標準税率を超える税率で、地方公共団体が課税することが地方税法で認められているものをいう。
(10) 「制限税率」とは、地方公共団体が超過課税による税率で課税する場合においても超えることのできない税率で、地方税法に規定されているものをいう。
(11) 「法定実効税率」とは、連結納税制度を適用する場合を除き、次の算式によるものをいう([設例 10])。
法定実効税率 = 法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率
1+事業税率5. 本適用指針に、企業会計基準第 27 号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」第 4 項に定義されている用語が使われている場合、当該用語の定義に従う


会計処理


税効果会計の目的


6. 税効果会計は、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税等の額を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続であるとされている(税効果会計基準 第一)。


繰延税金資産及び繰延税金負債の計上

7. 繰延税金資産又は繰延税金負債は、一時差異等に係る税金の額から将来の会計期間
において回収又は支払が見込まれない税金の額を控除して計上しなければならないとされている(税効果会計基準 第二 二 1)。
8. 繰延税金資産及び繰延税金負債は、次のとおり計上する。
(1) 個別財務諸表における繰延税金資産は、将来の会計期間における将来減算一時差異の解消、税務上の繰越欠損金と課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)との相殺及び繰越外国税額控除の余裕額の発生等に係る減額税金の見積額について、回収可能性適用指針に従って、その回収可能性を判断し計上する。
ただし、組織再編に伴い受け取った子会社株式又は関連会社株式(以下「子会社
株式等」という。)(事業分離に伴い分離元企業が受け取った子会社株式等を除く(結合分離適用指針第 108 項)。)に係る将来減算一時差異のうち、当該株式の受取時に生じていたものについては、予測可能な将来の期間に、その売却等を行う意思決定又は実施計画が存在する場合を除き、繰延税金資産を計上しない。
(2) 個別財務諸表における繰延税金負債は、将来の会計期間における将来加算一時
差異の解消に係る増額税金の見積額について、次の場合を除き、計上する。
① 企業が清算するまでに課税所得が生じないことが合理的に見込まれる場合
② 子会社株式等(事業分離に伴い分離元企業が受け取った子会社株式等を除く
(結合分離適用指針第 108 項)。)に係る将来加算一時差異について、親会社又は投資会社(以下「親会社等」という。)がその投資の売却等を当該会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な将来の期間に、その売却等を行う意思がない場合
(3) 連結決算手続においては、連結財務諸表における繰延税金資産及び繰延税金負
債として、連結財務諸表固有の一時差異が生じた納税主体ごとに、当該連結財務諸表固有の一時差異に係る税金の見積額を計上する。
連結財務諸表固有の将来減算一時差異(未実現利益の消去に係る将来減算一時
差異を除く。)に係る繰延税金資産は、納税主体ごとに個別財務諸表における繰延税金資産(繰越外国税額控除に係る繰延税金資産を除く。)と合算し、回収可能性適用指針第 9 項に従って計上する。
9. 本適用指針第 8 項に従って繰延税金資産又は繰延税金負債を計上するときは、次の場合を除き、年度の期首における繰延税金資産の額と繰延税金負債の額の差額と期末における当該差額の増減額を、法人税等調整額を相手勘定として計上する。
(1) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等(企業会計基準第 5 号「貸借対
照表の純資産の部の表示に関する会計基準」第 8 項に定める評価・換算差額等をいう。以下同じ。)を直接純資産の部に計上する場合、当該評価差額等に係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の差額について、年度の期首における当該差額と期末における当該差額の増減額を、純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上する。
(2) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等をその他の包括利益で認識し
た上で純資産の部のその他の包括利益累計額に計上する場合、当該評価差額等に
係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の差額について、年度の期
首における当該差額と期末における当該差額の増減額を、その他の包括利益を相
手勘定として計上する。
(3) 連結財務諸表において、子会社に対する投資について、親会社の持分が変動することにより生じた差額(親会社持分相当額の変動額と売却価額又は取得価額の差
額をいう。以下「親会社の持分変動による差額」という。)を直接資本剰余金に計上する場合、当該親会社の持分変動による差額に係る一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債の額を、資本剰余金を相手勘定として計上する。
10. 第 9 項に従って連結財務諸表固有の一時差異に対して法人税等調整額を計上する場合、当該連結財務諸表固有の一時差異が生じた子会社に非支配株主が存在するときには、親会社持分と非支配株主持分に配分する。


財務諸表上の一時差異等の取扱い

その他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱い

11. その他有価証券の評価差額に係る一時差異については、本適用指針第 8 項の定めにかかわらず、回収可能性適用指針第 38 項から第 41 項に従って繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する。当該繰延税金資産又は繰延税金負債については、純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上する(本適用指針第 9 項(1)参照)。


繰延ヘッジ損益に係る一時差異の取扱い

12. 繰延ヘッジ損益に係る一時差異については、回収可能性適用指針第 46 項に従って繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する。当該繰延税金資産又は繰延税金負債については、純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上する(本適用指針第 9 項(1)参照)。


土地再評価差額金に係る一時差異の取扱い


13. 「土地の再評価に関する法律」(平成 10 年法律第 34 号)に基づき事業用土地を再評価したことにより生じた差額(以下「土地再評価差額金」という。)に係る一時差異については、第 8 項に従って繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する。当該繰延税金資産又は繰延税金負債については、純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上
する(第 9 項(1)参照)。
14. 第 13 項に従って計上した繰延税金資産又は繰延税金負債について、再評価を行った事業用土地の売却等により土地再評価差額金に係る一時差異が解消した場合、当該解消した一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を取り崩す。当該繰延税金資産又は繰延税金負債については、法人税等調整額を相手勘定として取り崩す。


租税特別措置法上の諸準備金等に係る将来加算一時差異の取扱い

15. 圧縮積立金、特別償却準備金、その他租税特別措置法上の諸準備金等(以下「諸準備金等」という。)の積立額(又は取崩額)に係る将来加算一時差異については、第 8 項(2)に従って繰延税金負債を計上する(又は取り崩す)。当該繰延税金負債については、法人税等調整額を相手勘定として計上する(又は取り崩す)(第 9 項参照)。諸準備金等の積立額(又は取崩額)は、当該繰延税金負債の計上額(又は取崩額)を控除した額となる([設例 1]及び[設例 2])。


連結会社間における資産(子会社株式等を除く。)の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の個別財務諸表における取扱い

16. 連結会社間における資産(子会社株式等を除く。第 38 項及び第 142 項において同じ。)の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法(昭和 40 年法律第 34 号)第 61 条の 13(完全支配関係がある法人の間の取引の損益))、当該資産を売却した企業の個別財務諸表における当該売却損益に係る一時差異について、第 8 項及び第 9 項に従って繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する。


連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の個別財務諸表における取扱い

17. 連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第 61 条の 13)、当該子会社株式等を売却した企業の個別財務諸表における当該売却損益に係る一時差異について、第 16 項と同様に取り扱う([設例 8])。


連結財務諸表固有の一時差異の取扱い

子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異の取扱い

18. 資本連結手続において、子会社の資産(又は負債)を時価評価し、評価減(又は評価増)が生じた場合、当該評価減(又は評価増)に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異について、第 8 項(3)に従って回収可能性を判断し繰延税金資産を計上する([設例3])。
また、資本連結手続において、子会社の資産(又は負債)を時価評価し、評価増(又は評価減)が生じた場合、当該評価増(又は評価減)に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異について、繰延税金負債を計上する([設例 3])。
19. 資本連結手続において、時価評価した子会社の資産(又は負債)を償却又は売却(又は決済)した場合、当該資産を償却した年度又は売却した年度(又は当該負債を決済した年度)に、資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異の解消に応じて繰延税金資産又は繰延税金負債を取り崩す。当該繰延税金資産又は繰延税金負債については、法人税等調整額を相手勘定として取り崩す。


個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上した場合の連結財務諸表における取扱い

20. 個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上し、当該評価損について税務上の損金算入の要件を満たしていない場合であって、当該評価損に係る将来減算一時差異の全部又は一部に対して繰延税金資産が計上されているときは、資本連結手続に伴い生じた当該評価損の消去に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して、当該繰延税金資産と同額の繰延税金負債を計上する。当該繰延税金負債については、個別財務諸表において計上した子会社株式の評価損に係る将来減算一時差異に対する繰延税金資産と相殺する。
また、個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上し、当該評価損について税務上の損金算入の要件を満たしていない場合であって、当該評価損に係る将来減算一時差異に対して繰延税金資産が計上されていないときは、資本連結手続に伴い生じた当該評価損の消去に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して繰延税金負債を計上しない。
21. 個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上し、当該評価損について税務上の損金算入の要件を満たしている場合(過去に税務上の損金に算入された場合を含む。)、資本連結手続に伴い生じた当該評価損の消去に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して繰延税金負債を計上しない。


子会社に対する投資に係る一時差異の取扱い

(子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異の取扱い)
22. 子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異については、原則として、連結決算手続上、繰延税金資産を計上しない。ただし、次のいずれも満たす場合、繰延税金資産を計上する。
(1) 当該将来減算一時差異が、次のいずれかの場合により解消される可能性が高い。
① 予測可能な将来の期間に、子会社に対する投資の売却等(他の子会社への売却
の場合を含む。)を行う意思決定又は実施計画が存在する場合
② 個別財務諸表において計上した子会社株式の評価損について、予測可能な将
来の期間に、税務上の損金に算入される場合
(2) 第 8 項(3)に従って当該将来減算一時差異に係る繰延税金資産に回収可能性があると判断される。
(子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異の取扱い)
23. 子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異のうち、第 24 項に定めた解消事由以外により解消されるものについては、次のいずれも満たす場合を除き、将来の会計期間において追加で納付が見込まれる税金の額を繰延税金負債として計上する([設例 4-2])。
(1) 親会社が子会社に対する投資の売却等を当該親会社自身で決めることができる。
(2) 予測可能な将来の期間に、子会社に対する投資の売却等(他の子会社への売却の
場合を含む。)を行う意思がない。
24. 子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異のうち、子会社の留保利益(親会社の投資後に増加した子会社の利益剰余金をいう。このうち親会社持分相当額に限る。以下同じ。)に係るもので、親会社が当該留保利益を配当金として受け取ることにより解消されるものについては、次のいずれかに該当する場合、将来の会計期間において追加で納付が見込まれる税金の額を繰延税金負債として計上する。
(1) 親会社が国内子会社の留保利益を配当金として受け取るときに、当該配当金の
一部又は全部が税務上の益金に算入される場合
(2) 親会社が在外子会社の留保利益を配当金として受け取るときに、次のいずれか
又はその両方が見込まれる場合([設例 5])
① 当該配当金の一部又は全部が税務上の益金に算入される。
② 当該配当金に対する外国源泉所得税について、税務上の損金に算入されない
ことにより追加で納付する税金が生じる。
一方で、親会社が当該子会社の利益を配当しない方針を採用している場合又は子会社の利益を配当しない方針について他の株主等との間に合意がある場合等、将来の会計期間において追加で納付する税金が見込まれない可能性が高いときは、繰延税金負債を計上しない。
25. 本適用指針第 24 項(2)①における親会社が在外子会社の留保利益を配当金として受け取るときに税務上の益金に算入されることにより追加で納付が見込まれる税金の額を算定する場合、当該在外子会社の外貨表示財務諸表に示された留保利益を基に、当該子会社の決算日(子会社の決算日が連結決算日と異なる場合で、かつ、当該子会社が連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行う場合(企業会計基準第22 号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)第 16 項)は、当該連結決算日)における為替相場を用いて算定する。
26. 第 24 項(2)②における外国源泉所得税の額について追加で納付が見込まれる税額を算定する場合、配当金を支払った在外子会社の所在地国の法令(又は我が国と当該所在地国で租税条約等が締結されている場合には法令及び当該租税条約等)に規定されている税率を用いて計算する。また、当該法令が改正される場合(又は当該租税条約等が締結される若しくは改正される場合)、第 44 項に準じて、当該外国源泉所得税の額を計算する。
(子会社等に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異の各項目の取扱い)
27. 第 22 項から第 24 項に従って繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する場合、当該繰延税金資産又は繰延税金負債は、次の場合を除き、法人税等調整額を相手勘定として計上する。
(1) 次の子会社又は関連会社(以下「子会社等」という。)に対する投資に係る連結
財務諸表固有の一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債については、そ
の他の包括利益を相手勘定として計上する(第 9 項(2)参照)。
① 親会社等の投資後に子会社等が計上したその他有価証券評価差額金に係る連
結財務諸表固有の一時差異
② 親会社等の投資後に子会社等が計上した繰延ヘッジ損益に係る連結財務諸表
固有の一時差異
③ 親会社等の投資後に子会社等が計上した退職給付に係る負債又は退職給付に
係る資産に関する連結財務諸表固有の一時差異
④ 為替換算調整勘定に係る連結財務諸表固有の一時差異
(2) 次の子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異に関する繰延税金
資産又は繰延税金負債については、資本剰余金を相手勘定として計上する(第 9 項
(3)参照)。
① 子会社に対する投資について追加取得に伴い生じた親会社の持分変動による
差額に係る連結財務諸表固有の一時差異([設例 4-3])
② 子会社に対する投資について当該子会社の時価発行増資等に伴い生じた親会
社の持分変動による差額に係る連結財務諸表固有の一時差異


子会社に対する投資を一部売却した場合の取扱い

(子会社に対する投資の一部売却後も親会社と子会社の支配関係が継続している場合における親会社の持分変動による差額に対応する法人税等相当額についての売却時の取扱い)
28. 子会社に対する投資を一部売却した後も親会社と子会社の支配関係が継続している場合、連結財務諸表上、当該売却に伴い生じた親会社の持分変動による差額に対応する法人税等に相当する額(子会社への投資に係る税効果の調整を含む。)(以下「法人税等相当額」という。)については、売却時に、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目を相手勘定として資本剰余金から控除する([設例 4-1])。
資本剰余金から控除する法人税等相当額は、売却元の課税所得や税金の納付額にかかわらず、原則として、親会社の持分変動による差額に法定実効税率を乗じて計算する。
(子会社に対する投資を一部売却したことにより親会社と子会社の支配関係が継続していない場合における残存する投資に係る一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債についての売却時の取扱い)
29. 子会社に対する投資の一部売却により当該被投資会社が子会社等に該当しなくなった場合、連結財務諸表上、残存する当該被投資会社に対する投資は個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価するとされている(連結会計基準第 29 項なお書き)。
この場合、本適用指針第 27 項に従って法人税等調整額を相手勘定として計上した当該子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債のうち、当該売却に伴い投資の帳簿価額を修正したことにより解消した一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を、利益剰余金を相手勘定として取り崩す。


子会社に対する投資を売却した時の親会社の持分変動による差額に対する繰延税金資産又は繰延税金負債についての取扱い

(親会社の持分変動による差額に対して繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していた場合の子会社に対する投資を売却した時の取扱い)
30. 子会社に対する投資の追加取得や子会社の時価発行増資等に伴い生じた親会社の持分変動による差額に係る連結財務諸表固有の一時差異について、第 27 項(2)に従って資本剰余金を相手勘定として繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していた場合、当該子会社に対する投資を売却した時に当該売却により解消した一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を取り崩す。当該繰延税金資産又は繰延税金負債については、法人税等調整額を相手勘定として取り崩す([設例 4-3])。
(親会社の持分変動による差額に対して繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していなかった場合の子会社に対する投資を売却した時の取扱い)
31. 子会社に対する投資の追加取得や子会社の時価発行増資等に伴い生じた親会社の持分変動による差額を資本剰余金としている場合で、かつ、当該子会社に対する投資の売却の意思決定とその売却の時期が同一の事業年度となったことなどにより、売却直前に繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していなかった場合、当該子会社に対する投資を売却した時に、当該資本剰余金に対応する法人税等調整額に相当する額について、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目を相手勘定として資本剰余金から控除する([設例 4-4])。


債権と債務の相殺消去に伴い修正される貸倒引当金に係る一時差異の取扱い

32. 個別財務諸表において連結会社に対する債権に貸倒引当金を計上し、当該貸倒引当金繰入額について税務上の損金算入の要件を満たしていない場合であって、当該貸倒引当金繰入額に係る将来減算一時差異の全部又は一部に対して繰延税金資産が計上されているときは、連結決算手続上、債権と債務の相殺消去に伴い当該貸倒引当金が修正されたことにより生じた当該貸倒引当金に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して、当該繰延税金資産と同額の繰延税金負債を計上する。当該繰延税金負債については、個別財務諸表において計上した貸倒引当金繰入額に係る将来減算一時差異に対する繰延税金資産と相殺する([設例 6])。
また、個別財務諸表において連結会社に対する債権に貸倒引当金を計上し、当該貸倒引当金繰入額について税務上の損金算入の要件を満たしていない場合であって、当該貸倒引当金繰入額に係る将来減算一時差異に対して繰延税金資産が計上されていないときは、連結決算手続上、債権と債務の相殺消去に伴い当該貸倒引当金が修正されたことにより生じた当該貸倒引当金に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して繰延税金負債を計上しない。
33. 個別財務諸表において連結会社に対する債権に貸倒引当金を計上し、当該貸倒引当金繰入額について税務上の損金算入の要件を満たしている場合(過去に税務上の損金に算入された場合を含む。)、連結決算手続上、債権と債務の相殺消去に伴い当該貸倒引当金が修正されたことにより生じた当該貸倒引当金に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して、原則として、繰延税金負債を計上する。この場合、債権者側の連結会社に適用される法定実効税率を用いて計算する。ただし、債務者である連結会社の業績が悪化している等、将来において当該将来加算一時差異に係る税金を納付する見込みが極めて低いときは、当該連結財務諸表固有の将来加算一時差異に係る繰延税金負債を計上しない。


未実現損益の消去に係る一時差異の取扱い

34. 未実現利益の消去に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異については、売却元の連結会社において売却年度に納付した当該未実現利益に係る税金の額を繰延税金資産として計上する。計上した繰延税金資産については、当該未実現利益の実現に応じて取り崩す([設例 7-1])。
また、未実現損失の消去に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異については、売却元の連結会社において売却年度に軽減された当該未実現損失に係る税金の額を繰延税金負債として計上する。計上した繰延税金負債については、当該未実現損失の実現に応じて取り崩す。
35. 未実現利益の消去に係る繰延税金資産を計上するにあたっては、回収可能性適用指針第 6 項の定めを適用せず、その回収可能性を判断しない。また、繰延税金資産の計上対象となる当該未実現利益の消去に係る将来減算一時差異の額については、売却元の連結会社の売却年度における課税所得の額を上限とする([設例 7-2])。
36. 未実現損失の消去に係る繰延税金負債を計上するにあたって、繰延税金負債の計上対象となる当該未実現損失の消去に係る将来加算一時差異の額については、売却元の連結会社の売却年度における当該未実現損失に係る税務上の損金を算入する前の課税所得の額を上限とする
37. 子会社の決算日が連結決算日と異なることから生じる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致について必要な整理を行い、未実現損益が消去された場合、当該未実現損益の消去に係る繰延税金資産又は繰延税金負債については第 34 項から第 36 項に従って計上する。


連結会社間における資産(子会社株式等を除く。)の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の連結財務諸表における取扱い

38. 連結会社間における資産の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第 61 条の 13)であって、当該資産を売却した企業の個別財務諸表において、第 16 項に従って当該売却損益に係る一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債が計上されているときは、連結決算手続上、当該売却損益が消去されたことに伴い生じた当該売却損益の消去に係る連結財務諸表固有の一時差異に対して、個別財務諸表において計上した繰延税金資産又は繰延税金負債と同額の繰延税金負債又は繰延税金資産を計上する。当該繰延税金負債又は繰延税金資産については、個別財務諸表において計上した当該売却損益に係る一時差異に対する繰延税金資産又は繰延税金負債と相殺する。


連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の連結財務諸表における取扱い

39. 連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第 61 条の 13)であって、当該子会社株式等を売却した企業の個別財務諸表において、第 17 項に従って当該売却損益に係る一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債が計上されているときは、連結決算手続上、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債の額は修正しない([設例 8])。
なお、連結会社間における子会社株式等の売却の意思決定等に伴い、子会社等に対する投資に関連する連結財務諸表固有の一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を計上している場合、当該繰延税金資産又は繰延税金負債のうち、当該売却により解消される一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を売却時に取り崩す。また、当該子会社株式等の売却に伴い、追加的に又は新たに生じる一時差異については、第 22 項又は第 23 項に従って処理する。


子会社等が保有する親会社株式等を当該親会社等に売却した場合の連結財務諸表における法人税等に関する取扱い


40. 連結子会社が保有する親会社株式を当該親会社に売却した場合(親会社が連結子会社から自己株式を取得した場合)に当該子会社に生じる売却損益に対応する法人税等のうち親会社持分相当額は、企業会計基準適用指針第 2 号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」(以下「自己株式等会計適用指針」という。)第 16項に準じて、資本剰余金から控除する([設例 9])。
41. 持分法の適用対象となっている子会社等が保有する親会社の株式又は投資会社の株式(以下「親会社株式等」という。)を当該親会社等に売却した場合についても、第 40項と同様に処理する。


退職給付に係る負債又は退職給付に係る資産に関する一時差異の取扱い

42. 連結財務諸表における退職給付に係る負債に関する繰延税金資産又は退職給付に係る資産に関する繰延税金負債については、個別財務諸表における退職給付引当金に係る将来減算一時差異に関する繰延税金資産の額又は前払年金費用に係る将来加算一時差異に関する繰延税金負債の額に、連結修正項目である未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用(以下合わせて「未認識項目」という。)の会計処理により生じる将来減算一時差異に係る繰延税金資産の額又は将来加算一時差異に係る繰延税金負債の額を合算し、当該合算額について次のとおり処理する。
(1) 当該合算により純額で繰延税金資産が生じる場合、当該合算額について回収可
能性適用指針第 43 項及び第 45 項に従って回収可能性を判断し、未認識項目の一
時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債について、その他の包括利益を相手
勘定として計上する(回収可能性適用指針第 10 項(1))(本適用指針第 9 項(2)参
照)。
(2) 当該合算により純額で繰延税金負債が生じる場合、未認識項目の一時差異に係
る繰延税金資産又は繰延税金負債について、その他の包括利益を相手勘定として
計上する(本適用指針第 9 項(2)参照)。


子会社株式等の取得に伴い認識したのれん又は負ののれんに係る繰延税金負債又は繰延税金資産の取扱い

43. 子会社株式等の取得に伴い、資本連結手続上、認識したのれん又は負ののれんについて、繰延税金負債又は繰延税金資産を計上しない。


繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法及び税率


繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法

44. 繰延税金資産及び繰延税金負債の額は、決算日において国会で成立している税法(以下、法人税等の納付税額の計算方法が規定されている我が国の法律を総称して「税法」という。)に規定されている方法に基づき第 8 項に定める将来の会計期間における減額税金又は増額税金の見積額を計算する。なお、決算日において国会で成立している税法とは、決算日以前に成立した税法を改正するための法律を反映した後の税法をいう。ただし、税法に規定されている納付税額の計算方法のうち、税率については、第 45項から第 49 項に従う。


繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率


45. 税効果会計基準では、繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとされている(税効果会計基準 第二 二 2)。
46. 法人税及び地方法人税について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している法人税法等(法人税及び地方法人税の税率が規定されている税法をいう。以下同じ。)に規定されている税率による。
47. 住民税(法人税割)及び事業税(所得割)(以下合わせて「住民税等」という。)について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している地方税法等(住民税等の税率が規定されている税法をいう。以下同じ。)に基づく税率による。
48. 第 47 項における決算日において国会で成立している地方税法等に基づく税率とは、次の税率をいう。
(1) 当事業年度において地方税法等を改正するための法律が成立していない場合
(地方税法等を改正するための法案が国会に提出されていない場合を含む。)
決算日において国会で成立している地方税法等を受けた条例に規定されている
税率(標準税率又は超過課税による税率)
(2) 当事業年度において地方税法等を改正するための法律が成立している場合
① 改正された地方税法等(以下「改正地方税法等」という。)を受けて改正され
た条例(以下「改正条例」という。)が決算日以前に各地方公共団体の議会等で
成立している場合決算日において成立している条例に規定されている税率(標準税率又は超過課税による税率)
なお、決算日において成立している条例とは、決算日以前に成立した条例を改
正するための条例を反映した後の条例をいう。
② 改正地方税法等を受けた改正条例が決算日以前に各地方公共団体の議会等で
成立していない場合
ア 決算日において成立している条例に標準税率で課税することが規定されて
いるとき
改正地方税法等に規定されている標準税率
イ 決算日において成立している条例に超過課税による税率で課税することが
規定されているとき改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条例に規定されている超過課税による税率が改正直前の地方税法等の標準税率を超える差分を考慮する税率
49. 第 48 項(2)②イに定める差分を考慮する税率を算定するにあたっては、例えば、次の方法がある([設例 11])。
(1) 改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条
例に規定されている超過課税による税率が改正直前の地方税法等の標準税率を超
える数値を加えて算定する。なお、この結果として得られた税率が、改正地方税法等に規定されている制限税率を超える場合は、当該制限税率とする。
(2) 改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条
例に規定されている超過課税による税率における改正直前の地方税法等の標準税
率に対する割合を乗じて算定する。なお、この結果として得られた税率が、改正地方税法等に規定されている制限税率を超える場合は、当該制限税率とする。


子会社の決算日が連結決算日と異なる場合の税法又は税率の取扱い

50. 連結財務諸表を作成するにあたって、子会社の決算日が連結決算日と異なる場合で、かつ、当該子会社が連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行う場合(連結会計基準第 16 項)、当該子会社の繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法又は税率は、本適用指針第 44 項から第 49 項の「決算日」を「連結決算日」と読み替えた税法又は税率によるものとする。
また、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行う場合(連結会計基準(注 4))、当該子会社の繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法又は税率は、本適用指針第 44 項から第 49 項の「決算日」を「子会社の決算日」と読み替えた税法又は税率によるものとする。


繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法が改正された場合の取扱い

51. 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法の改正に伴い税率が変更されたこと等により繰延税金資産及び繰延税金負債の額が修正された場合、次の場合を除き、当該修正差額を当該税率が変更された年度において、法人税等調整額を相手勘定として計上する。
(1) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等を直接純資産の部に計上する
場合、当該評価差額等に係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の
差額について、税率が変更されたことによる修正差額を、当該税率が変更された年度において、純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上する。
(2) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等をその他の包括利益で認識し
た上で純資産の部のその他の包括利益累計額に計上する場合、当該評価差額等に
係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の差額について、税率が変更されたことによる修正差額を、当該税率が変更された年度において、その他の包括利益を相手勘定として計上する。
52. 子会社の資産及び負債の時価評価により生じた評価差額に係る一時差異について、子会社において税率が変更されたことによる繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額は、当該税率が変更された連結会計年度において、法人税等調整額を相手勘定として計上する。
53. 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法の改正に伴い税率以外の納付税額の計算方法が変更されたことにより、繰延税金資産及び繰延税金負債の額が修正された場合、第 51 項及び第 52 項の定めと同様に処理する。
(税法が改正された場合の一時差異の取扱い)
54. 税法が改正されたことにより土地再評価差額金に係る繰延税金資産又は繰延税金負債の額が修正された場合、当該修正差額は第 51 項(1)又は(2)に従って当該税法が改正された年度において、純資産の部の評価・換算差額等(土地再評価差額金)又はその他の包括利益を相手勘定として計上する。
55. 税法が改正されたことにより諸準備金等に係る繰延税金負債の額が修正された場合、当該修正差額は当該税法が改正された年度において、法人税等調整額を相手勘定として処理するとともに、同額の諸準備金等を計上する(又は取り崩す)([設例 1]及び[設例 2])。
56. 未実現損益の消去に係る繰延税金資産又は繰延税金負債の額については、税法の改正に伴い税率等が変更されても修正しない。

【税効果会計に係る会計基準の適用指針②へ続く】